電動カートがきっかけで高齢者の要介護リスクが低下? ~「楽しみ」「明るい気持ち」「生きがい」の増加で、要介護リスク低下の傾向~

2025年08月26日

研究?産学連携

 千葉大学予防医学センターの小林周平特任研究員、井手一茂特任助教、近藤克則特任教授、日本福祉大学の渡邉良太客員研究所員、福定正城主任研究員、斉藤雅茂教授らの研究グループは、大阪府河内長野市および奈良県王寺町に居住する65歳以上の住民726人を対象に、電動カートの導入1年後の主観的指標の変化と要介護リスクとの関連を検証しました。その結果、運行を継続していた王寺町の高齢者において、電動カートをきっかけに「日常生活における楽しみが増えた」「気持ちが明るくなる機会が増えた」「生きがいを感じる機会が増えた」といったポジティブ感情が増加した人は、そうでない人に比べて1年後の要介護リスクが低下したことが明らかになりました。電動カートは移動支援のみならずポジティブ感情を生み出すという従来の研究の再現性が確認され、ポジティブ感情に変化がみられた高齢者では要介護リスクが低下する可能性が新たに示されました。
 本研究結果は、2025年8月22日に日本公衆衛生雑誌に早期公開されました。

  • 図:電動カートをきっかけとした主観的指標の変化と1年後の要介護リスクとの関連

    図:電動カートをきっかけとした主観的指標の変化と1年後の要介護リスクとの関連