令和6年度千葉大学学部卒業式?大学院修了式?学位記授与式 来賓祝辞
卒業生?修了生の皆さん、本日は誠におめでとうございます!
晴れやかな笑顔が輝くこの佳き日を、ご家族、ご友人、そして皆さんを温かく見守り、支え続けてくださった先生方と共に迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。
特に、遠い故郷を離れ、異国の地でたゆまぬ努力を重ね、見事に卒業の日を迎えられた留学生の皆さんには、深い敬意と祝福の思いをお伝えしたいと思います。
皆さんが大学生活を始められた頃、世界はかつてない試練に直面していました。新型コロナウィルスのパンデミックにより、これまで当たり前だった学びの場は一変し、戸惑いや孤独を感じた日々もあったことでしょう。
しかし、このような困難ななかでも、皆さんは学びを止めることなく、適応し、あらたな形で友情を育み、創造性を駆使して困難を乗り越え、目標に向かってすすんでこられました。この粘り強さと柔軟な思考こそが、これからの時代を生き抜く力となるでしょう。
皆さんはただの「卒業生?修了生」ではありません。時代の変化に立ち向かい、自らの道を切り開く開拓者です。これから先、どんな険しい道が待ち受けていても、皆さんの内に秘められた力、大学で培った学び、そして何よりも仲間との絆があれば、必ずや乗り越えていけるでしょう。そして、その先には、新たな可能性を生み出していくでしょう。
私たちが生きる現代は、まるで予測不可能な天候のように変化の激しい時代です。VUCA(Volatility 変動性?Uncertainty 不確実性?Complexity複雑性?Ambiguity曖昧性)の時代とも呼ばれていますが、技術革新のスピードは加速し続け、経済や社会のルールも目まぐるしく変化しています。
もし、私の曽曽祖父である渋沢栄一がこの時代に皆さんの門出を見守っていたなら、どんな言葉を贈ったでしょうか?
渋沢栄一の思想の中から、4つの大切な教えをご紹介したいと思います。
1.誠実さを、何よりも大切に
渋沢栄一は、「道徳と経済は両立する」と説きました。
目先の利益に目を奪われることなく、社会への貢献という大きな視点を忘れないでください。ルールが変わり、短期的な成功に心が揺らぐこともあるかもしれません。しかし、どんな状況でも「誠実であること」を貫く人こそが、長く信頼を築き、真の成功を手にするのです。
2.変化を恐れず、常に挑戦者であれ
渋沢栄一は、時代の変化を受け入れながら道を切り拓いた変革者でした。幕末の武士から実業家へ、そして日本の近代化の推進者へと、常に新しい挑戦を続けました。皆さんの目の前にも予測できない未来が広がっています。しかし、変化を恐れず、「今の時代に自分が何をすべきか」を問い続けることで、新たなチャンスが見えてくるでしょう。
3.世界を視野にいれよ
「日本人としてだけでなく、世界の一員として行動せよ」と語りました。
渋沢栄一は国境を越えた視点で物事を考え行動する重要性を強調しました。より良い世界を築くためには国や文化を越えた協力が必要です。千葉大学で学ばれた皆さんは、すでに世界を舞台に活躍するためのグローバルな視野を身につけています。これからもその視野を広げ、自らの可能性を世界へと大きく広げていってください。
4.人との縁を大切にせよ
渋沢栄一は500以上の企業の設立と600近くの社会事業に関わり、日本経済と社会の基盤を築きました。しかし、それは彼一人の力ではありませんでした。多くの人々との協力があったからこそ、大きな成果を上げることができたのです。これから社会に出る皆さんも、「人とのつながりを大切にすること」 を忘れないでください。一人では難しいことも、仲間と共に挑戦すれば、必ず道は開けます。
VUCAの時代は不確実で厳しいものに思えるかもしれません。しかし、渋沢栄一の言葉を借りるなら、「困難の中にこそ、未来を切り開く力がある」 のです。皆さんには無限の可能性があります。どうか、誠実さを胸に、変化を恐れず、そして何よりも人とのつながりを大切にしながら、自分自身の未来を力強く切り開いてください。
これからの皆さんの人生が、希望と喜びに満ちたものでありますように。皆さんの未来に無限の可能性と幸せが訪れることを、心から願っています。
改めて、卒業?修了おめでとうございます!
令和7年3月23日
公益財団法人渋沢栄一記念財団 業務執行理事
渋沢田鶴子